一般的に噂は一定期間が経過すれば収束していきます。しかし、収束するまでの間にさまざまな誹謗中傷を受けて、自身の信頼が低下する恐れがあります。そのため、噂を流されたのであれば、早めに対処して、事態の深刻化を回避しましょう。放置していると、ますます噂が広がり手遅れになりかねません。
この記事では、噂を流す人の特徴や相手への適切な仕返し方法を解説します。
噂を流す人の特徴

噂を流す人の特徴として以下が挙げられます。
- ネガティブな思考
- 性格がひねくれている
なお、噂は事実が伝わることもあれば、嘘が伝わっていくこともあります。嘘はもちろん、事実であっても特定の誰かを貶めるための行動は名誉毀損罪に該当することを、被害に遭った側も把握しておきましょう。
ネガティブな思考
自分の生活がうまくいっていない、社会的に不満を抱えているといったネガティブな思考を持つ人の場合、そのストレスを他人にぶつける形で表現することがよくあります。否定的な考えが深刻化すると特定の人をターゲットに噂を流そうとするでしょう。
周囲の成功や幸せに対して嫉妬や不安を感じ、それを打破するため悪い風評を流して自分の負の感情を解消しようとします。
このような人物は、他人の悪口や噂を楽しむ傾向があり、自分の不満を解消するために周囲の人々を巻き込むことがしばしばあるでしょう。
性格がひねくれている
噂を流す人は、性格的にひねくれている傾向にあり、何かしらの意図を持って、他人を困らせたり、社会的な評価を落とすために行動に出るでしょう。例えば、他人の成功や幸せを妬み、その人の評判を下げるために意図的に悪い情報を広めます。
また、積極的に噂を流す人物は、周囲との関係性において対立を避けようとします。自分の思い通りに物事を動かそうとすることが多く、結果として噂を流すことになります。
噂を流される人の特徴

噂のターゲットになりやすい人の特徴は次のとおりです。
- 優しすぎる性格
- 自己主張が苦手
- 内向的な性格
優しすぎる性格
噂を流されやすい人の特徴として、他人に対して過度に優しすぎる性格が挙げられます。こうした人は、自分の立場や気持ちを主張することが少なく、周囲の期待に応えようと無理をしてしまうことがあるでしょう。他人の悪意やネガティブな言動に対しても、過剰に反応せず、反論したり自分を守ったりしない傾向にあります。そのため、悪い噂が立ったとしても、指摘することなく放置してしまい、結果的に情報が広まりやすくなります。
自己主張が苦手
自己主張が苦手な人はなかなか自分の意見を主張できず、他人の意見や考えを優先しがちです。そのため、悪意ある人からうわさのターゲットにされ、周囲の人々に誤解を与えてしまうことが多いでしょう。
特に、他人の噂話や不当な評価に対して反論することなく、ただ受け入れてしまうことがあります。自己主張が苦手な性格の人は、悪い噂を流されてもそれに対して積極的に対処することができないため、情報が広がる原因になってしまいます。
内向的な性格
内向的でおとなしい性格の人は、反論が苦手な傾向にあるため噂を流されやすい対象です。内向的な人は、自分の考えや感情を外に出すことが少なく、物事を内面的に消化してしまう傾向があります。こうした人々は、他人と積極的にコミュニケーションを取ることが少なく、場合によっては自分が誤解されていることに気づかないこともあるでしょう。
また、自己表現が苦手であるため、悪い噂が流れていることに気づいても、それに対して素早く行動できないという点もあります。
噂を流す人の心理
噂を流してしまう人は次のような心理を抱えている可能性があります。
- 嫉妬心
- 仲間になりたい
- プライドが高い
嫉妬心

噂を流す人が抱えている心理のひとつに、嫉妬心が挙げられます。例えば、職場や近所で他人が自分よりも優れていたり、注目を浴びていたりすると、嫉妬を感じることがあります。
強い嫉妬心を抱くと、他者を引き下げるために事実とかけ離れた嘘を流してしまうでしょう。
嫉妬心からネガティブな情報を流す人は、自分の不安や劣等感を解消するために、他人を貶める行動が有効と考えています。
嫉妬心からくる噂話は、事実無根であったり、誇張されている傾向にあり、広まってしまうと噂のターゲットは精神的なダメージを受けることになります。
仲間になりたい
噂を流す人の心の中には、周囲と仲良くなりたい、仲間になりたいという気持ちが含まれている可能性があります。例えば特定のグループと仲良くなるために、そこにいない人の噂を流してグループに取り入ろうとするケースがあります。仲間になりたいという思いが強くなってしまうと、根も葉もない誹謗中傷を流しかねません。
プライドが高い
プライドが高く、自分の自尊心を傷つけられたと思い込み、人を陥れるような悪評を流布する人もいるでしょう。
例えば、プライドの高さゆえに自分が他人よりも優れていると感じている人は、他人を引きずり下ろすことで自分の立場を強化しようとします。このような人は、他人の成功や評価を快く思わず、それを崩すことで自分の位置を確保しようとするのです。
相手を貶めるために、悪意を持って事実を歪曲したり、虚偽の情報を流すことで、他人の評判を傷つけることがしばしばあります。
悪い噂を放置するリスク
噂を流された場合、ネガティブな内容が流布される恐れがあります。事実ではないと飽きれて放置していると、次のようなリスクにつながりかねません。
- 事実と異なる内容が広がる
- 別の人から誹謗中傷を受ける
- 個人情報を特定される
- 自分以外にも被害が及ぶ
事実と異なる内容が広がる
悪い噂を放置することの最大のリスクは、事実とは異なる内容が広がり続けることです。噂は根拠のない話や誤った情報に基づいて広がることが多く、放置することでその誤情報が拡散され、評判がますます傷ついてしまいます。伝言ゲームのように広がると情報はどんどん歪められ、最初は些細な誤解から始まったことが大きな問題に発展してしまうでしょう。初期段階で反論や訂正をしないと、事実と異なる内容が広がり、取り返しのつかない状態になるリスクが高くなります。
別の人から誹謗中傷を受ける

悪い噂を放置しておくと、さらに別の人からの誹謗中傷に発展する可能性があります。特にSNSや掲示板で誹謗中傷を流された場合、発信された情報に共感した別の人がどんどんと誹謗中傷を広げていきかねません。なかには、メールで直接誹謗中傷をしてくるケースもあるでしょう。
当初はSNSや掲示板など、インターネットのなかでの誹謗中傷だったにも関わらず、放置したことで、現実の人間関係に影響が及ぶ恐れすらあります。
このように放置しておくことがさらに事態を悪化させ、多くの人から不信感を抱かれかねません。
個人情報を特定される
悪い噂が広がることで、個人情報がさらされるリスクも増えます。特にインターネットやSNSを利用して拡散されていくと、プライベートな情報や経歴がネット上に公開され、個人情報が多くの人の目に晒されてしまう恐れがあります。
このような情報漏洩のリスクはより直接的な攻撃につながりかねません。例えば、住所を特定されたことで、ストーカー行為、郵便物を勝手に送られる、自宅の周囲に誹謗中傷のいたずら書きやビラを貼られるといった嫌がらせをされる恐れがあるでしょう。
噂が流れていることに気付いた段階で対処しなければ、悪意ある人の行動はエスカレートしていきます。
自分以外にも被害が及ぶ
悪い噂を放置していると、最終的には自分だけでなく、周囲の人々にも被害が及びかねません。悪評が家族や友人、同僚にまで広がると、自分以外も影響を受けることになります。特に家族や身近な人は、噂の影響を強く受けてしまうでしょう。例えば、家族や身近な人までありもしない誹謗中傷を流される恐れがあります。また、自宅まで特定されている場合、同居の家族もストレスや不安を溜め込んでしまうでしょう。
ターゲットとなった本人だけでなく、周囲にも大きな影響を及ぼしてしまうため、噂はすぐにでも止めることが大切です。
自力でできる悪評への対応
たかが噂と放置していると、先述のようなリスクにつながりかねません。ある程度であれば、悪評に対して自力で対応可能です。
具体的には次のような方法で悪評に対応しましょう。
- 相手が分かれば距離を置く
- 噂が拡散しないようにする
- 必要以上の個人情報を吹聴しない
相手が分かれば距離を置く

悪い噂が流れた場合、最も重要なのは発信した人物やその周囲との距離を適切に取ることです。相手が誰であるかが分かれば、直接的に関わりを持たないようにしましょう。
噂を流した人物との関係を続けていると、さらに拡大、もしくは別の悪評を流布される恐れがあります。また、発信者が意図的に他人を引き込んで広めようとする場合もあるでしょう。
特に職場や近所など、顔を合わせる機会が多い環境では、自分の立場を守るためにも適切な距離感を保ち、不要な交流を避けるよう心がけましょう。冷静に対処すれば、相手の意図に振り回されずに行動できます。
噂が拡散しないようにする
悪い噂が広がる前に、自力で拡散を防ぐこともできます。広まり始めた場合は、最初に気づいた時点で感情的にならずに対処することが大切です。一般的に噂を耳にした人は、無意識で方々に拡散してしまうため、事実かどうかの確認はしません。
そのため、自分に関する誤解や事実と異なる点があれば、把握した時点で訂正しましょう。また、SNSやオンラインなどで情報が拡散された場合には、インターネット上でも誤情報を訂正するように心がけましょう。周囲に正しい情報を提供することで、噂の広がりを防げる傾向にあります。
必要以上の個人情報を吹聴しない
噂が広がっていき、周りの行動がエスカレートすると電話をかけてくる、自宅を訪ねてくるといった直接的な行動につながる恐れがあります。
万が一、周りの行動がエスカレートしてしまった際に備えて、日頃から必要以上の個人情報は吹聴しないようにしましょう。特にSNSで個人を特定できる情報を書き込んでしまうと、その情報をもとに直接的な攻撃をうけかねません。
悪評を流した人への仕返し方法
悪評を流された場合、相手に対して仕返ししたいと考えることもあるでしょう。特に、家族や友人など、周囲の人物まで悪評にさらされてしまった場合、噂を流した相手に何かしたいという気持ちをより強く感じるかもしれません。
悪評を流した人への仕返し方法として以下が挙げられます。
- 悪評を流した相手を特定する
- 証拠を集める
- 相手を訴える
仕返しといっても、誹謗中傷や嫌がらせを行うことは、相手と同じになってしまいます。あくまで冷静に対処し、トラブルを回避することが大切です。
悪評を流した相手を特定する
まずは悪評を流した人物を特定することから始めましょう。広まった場所やタイミング、内容などを冷静に分析し、誰が噂を広めた可能性が高いのかを突き止めることが必要です。
職場であれば、噂が始まったと思われる場所や会話の中で、特定の人物が関与しているかどうかを観察します。近所や社会的な集まりの場合も、情報が広まった経緯を考慮し、最も疑わしい人物を洗い出します。この段階では、直接的に相手を問い詰めるのではなく、まずは観察と分析を行い、慎重に進めることが重要です。
インターネットでの誹謗中傷であれば発信者情報開示請求をする
SNSや掲示板など、インターネットにおける誹謗中傷は、誰が情報を発信したのか個人での特定は困難です。情報の発信元が誰であるのかはプロバイダに発信者開示請求をして特定します。
プロバイダへの発信者開示請求は次のような方法で進めていきます。
- Xなどコンテンツプロバイダに開示請求して情報を集める
- コンテンツプロバイダの開示内容に基づきアクセスプロバイダに開示請求して情報を入手する
自分でできるものの、情報を開示するかどうかは任意であるため、応じてもらえないのが一般的です。そのため、裁判手続きを申し立て、裁判所に開示命令を発してもらいましょう。
証拠を集める

悪評を流した相手を特定できたら、証拠を収集しましょう。噂の内容が事実無根であることを証明するためには、具体的な証拠が欠かせません。
SNSや掲示板など、インターネットで悪評を流布されたのであれば、該当の投稿や書き込みのスクリーンショットを証拠として活用しましょう。一方、口頭で悪評が流されているのであれば、会話や電話の録音、映像に収めておくことで証拠としての効力が期待できます。また、悪評を流した本人が自身の行動を認める書面や録音データも証拠として機能します。
証人を複数集めれば間接的な証拠になり得る
口頭で悪評を流されている場合、発言を収めた録音や映像、さらには本人の自白を自力で集めるのは困難です。
このような場合、複数の証人を集めることを検討しましょう。名誉毀損に関する直接的な証拠がなくても、複数の証人が一致した証言をする場合、間接的な証拠になり得ます。
相手を訴える
悪評を流した相手が特定でき、十分な証拠を集めたら、次は相手を訴えるという選択肢があります。訴訟を通じて相手に法的責任を問うことが可能です。誹謗中傷に関する法的手段としては以下が挙げられます。
- 民事訴訟を提起する
- 警察への告訴
民事訴訟を提起する
誹謗中傷をされた場合、民事訴訟を提起して相手に損害賠償を請求可能です。個人に対する誹謗中傷の場合、精神的苦痛に対する賠償が慰謝料として考慮され、数十万から100万円ほどの損害賠償が認められる傾向にあります。
一方、流された噂が企業に対する誹謗中傷で、営業上の損失が発生しているのであれば、より多くの損害賠償が認められる可能性があります。
なお、民法で定められているのは損害賠償の請求だけではありません。民法723条では名誉回復に相当する処分を定めています。(※1)具体的には謝罪広告の掲載や謝罪投稿などが挙げられます。
警察への告訴
誹謗中傷は刑法における名誉毀損罪や侮辱罪、業務妨害罪に該当する可能性があります。そのため、深刻な誹謗中傷を受けているのであれば、警察への告訴も検討しましょう。名誉棄損罪は虚偽の噂に限らず、事実であっても適用されます。
なお、名誉毀損罪、侮辱罪、業務妨害罪に対する罰則は次のとおりです。
噂を流した相手に復讐したいと考えている場合、上記のような罰則を相手に科せられることを把握しておきましょう。
噂を流されたら放置せずに適切に対処しよう
噂を流す人は嫉妬心や仲間になりたいという気持ち、高いプライドを傷つけられたなどの心理状態から、ネガティブな情報を拡散してしまいます。噂だからと放置していると、事実と異なる内容が広がる、個人情報を特定される、自分以外にも被害が及ぶなどのリスクにつながりかねません。
そのため、誰が情報を発信したのか特定し証拠を集めたうえで、民事訴訟や警察への告訴を検討しましょう。
自力で噂を発信している相手の特定や証拠収集は困難な傾向にあります。そのため、情報収集のプロである探偵に相談しましょう。アイヴィ・サービスはさまざまな証拠収集に対応しています。自分に関する噂を流されて対応に困っている方はぜひご相談ください。
(※1)e-GOV法令検索「民法」第七百二十三条(名誉毀き損における原状回復)
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-Pa_3-Ch_5-At_723
(※2)e-GOV法令検索「刑法 」第二百三十条(名誉毀き損)
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_34-At_230
(※3)e-GOV法令検索「刑法 」第二百三十一条(侮辱)
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_34-At_231
(※4)e-GOV法令検索「刑法 」第二百三十三条(信用毀損及び業務妨害)
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_35-At_233