認知症による徘徊で行方不明になる5つの理由や捜索方法を紹介

認知症による徘徊で行方不明になる5つの理由や捜索方法を紹介

2025年は65歳以上の高齢者数が3,657万人、75歳以上の高齢者が2,179万人に達するとも予想されている年です。(※1)厚生労働省の発表によれば、2025年までに認知症の有病者数は約700万人なると予想されています。(※2

このように認知症の人が増加しているなかで注意すべきは徘徊による行方不明です。認知症の人は夜間などに徘徊して、そのまま行方不明になってしまう可能性があります。

この記事では認知症を持つ家族の方や高齢の家族と住む方に向け、認知症によって徘徊してしまう理由やもしもの際の捜索方法、日頃から家庭でできる対策などを解説します。

(※1)厚生労働省:今後の高齢者人口の見通しについて(P1)https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/dl/link1-1.pdf

(※2)厚生労働省:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)

~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(P2)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/nop101.pdf

目次

行方不明者のうちおよそ2割は認知症

行方不明者のうちおよそ2割は認知症

警察庁『令和4年における行方不明者の状況』では、次のとおり行方不明者の失踪原因が発表されています。(※3

失踪原因平成30年(人)令和元年(人)令和2年(人)令和3年(人)令和4年(人)
疾病関係(うち認知症)23,347(16,927)23,906(17,479)23,592(17,565)23,308(17,636)24,719(18,709)
家庭関14,86614,33512,89412,41512,899
事業・職業関係10,98010,2447,8218,8149,615
学業関係2,3452,1051,6881,7501,771
異性関係1,5691,4931,3071,2401,272
犯罪関係548502415420407
その他18,89817,63814,64915,47717,147
不詳15,40916,71014,65615,79417,080
総数87,96286,93377,02279,21884,910

警察庁の発表では、疾病(病気)関係が原因で失踪したという人が毎年最多です。そのうち半数以上を認知症の人が占めています。

そして、認知症による失踪は全体の約2割にも及んでいます。

認知症の人の失踪は年々増加していて、平成30年の16,927人と令和4年の18,709人を比較すると約2,000人も増えていることが分かります。

(※3)警察庁:令和4年における行方不明者の状況(P5)

https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/fumei/R04yukuefumeisha.pdf

認知症による徘徊は記憶障害と見当識障害によって起こる

徘徊は認知症にみられる症状のひとつです。

認知症によって徘徊が起きてしまう原因は、短期的な記憶の障害と見当識の障害です。見当識とは現在の時刻や自分がどこにいるのかなどを把握することを指します。

認知症になってしまうと、記憶障害や見当識障害によって、自分がどこにいるのか何時なのかといった情報が曖昧になり徘徊を続けてしまいます。

認知症の徘徊は行方不明から9時間以内の発見が鍵

認知症の徘徊は行方不明から9時間以内の発見が鍵

年々増加している認知症による行方不明ですが、徘徊から9時間以内に発見できるかどうかがひとつの鍵です。

認知症の高齢者が徘徊してしまった場合、3~6時間未満で発見に至るというケースが多くあります。しかし、9時間を超えてしまうと発見率は徐々に低下していく傾向にあります。

また、発見に数日かかると死亡率が高まっていきます。一般的に発見に5日かかってしまうと生存率が低くなってしまいます。

認知症の人の年齢も関係する

認知症は高齢者だけが発症するわけではありません。65歳未満の人であっても若年性認知症を発症する可能性があります。※4

65歳未満の若年性認知症の人が徘徊してしまうと、高齢者の認知症患者よりも発見が難しい傾向にあります

高齢者の場合、夜間の徘徊に気づいた通行人や住民による通報が期待できるでしょう。

しかし、若年性の認知症の場合、夜間に外を歩いていても不審に思われることが少なく、通報が遅れてしまうと考えられます。

さらに、体力もあるため徘徊した際の行動範囲も広くなってしまい、見つかりづらくなってしまいます。

(※4)厚生労働省:若年性認知症支援ガイドブック(P2)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/guidebook_1.pdf

認知症の徘徊で行方不明になる5つの理由

認知症の徘徊で行方不明になってしまう理由は主に次のとおりです。

  • どこにいるの分からなくなってしまう
  • なぜ外に出たの分からなくなってしまう
  • 居場所を探している
  • 過去の習慣を思い出している
  • 幻聴や幻視から逃れる

1. どこにいるのか分からなくなってしまう

1. どこにいるのか分からなくなってしまう

認知症の人は、外出しても自分がどこにいるのか分からなくなってしまう可能性があります。
これは、認知症の記憶障害や見当識障害によるものです

記憶障害によって道順、目印を忘れてしまう、見当識障害によってどこにいるのか分からなくなってしまいます。

このような症状は外出先に限ってみられるわけではありません。室内であってもトイレの場所を忘れてしまい家の中をウロウロするなどの行動がみられます。

2. なぜ外に出たのか分からなくなってしまう

認知症の人は外に出てもなぜ自分が外にいるのか分からなくなってしまいます。

特にアルツハイマー型認知症の場合、新たな記憶を作る役割を担う海馬が萎縮してしまいます。

海馬が委縮してしまうことで、家を出たとしても、自分がなぜ外に出たのか分からなくなってしまうのです

外に出た理由が分からなくなることで、外に出た目的を思い出そうと徘徊をしてしまいます。

3.  居場所を探している

認知症になると、家族や知人の顔も忘れてしまう可能性があります。

認知症によって家族や知人の顔を忘れてしまうと、家に知らない人がいると勘違いしかねません。その結果、自分の居場所を探そうと徘徊してしまいます

4. 過去の習慣を思い出している

4. 過去の習慣を思い出している

認知症によって自分の現在の年齢や生活環境を忘れてしまうケースがあります

例えば本来であれば仕事は引退していても、認知症による記憶障害で仕事に通っていたときのようにスーツで外出してしまいます。

また、引っ越し前の家に向かってしまうといった行動も、過去の習慣を思い出しているためと考えられるでしょう。

5. 幻聴や幻視から逃れる

認知症のなかでもレビー小体型認知症の場合、幻聴や幻視が現れることがあります

幻聴や幻視に強い不安感を抱いた結果、その場から逃げ出そうと徘徊してしまうケースが考えられます。

認知症の徘徊による行方不明者の捜索方法

家族や知人が認知症によって徘徊して、行方不明になってしまった場合、次のような方法で捜索しましょう。

  • できるだけ早く警察に相談する
  • 高齢者支援センターに相談する
  • 普段からよく行く場所を探す

できるだけ早く警察に相談する

認知症の徘徊によって行方不明になってしまった場合、できるだけ早く警察に相談することが大切です。

先述のように捜索に日数がかかると命の危険が高まりかねません。そのため、徘徊によって行方が分からなくなった場合は、少しでも早く警察に相談しましょう

なかには「徘徊はよくあること」「警察に迷惑をかけたくない」などの理由で相談しない人もいます。しかし、発見率を高めるために早めに警察への相談が必要です。

高齢者支援センターに相談する

高齢者支援センター(地域包括支援センター)とは高齢者の暮らしを地域でサポートすることを目的とした施設で、主に自治体が運営しています。

高齢者支援センター(地域包括支援センター)は2022年4月時点で全国に5,404件あります。

家族や知人が認知症による徘徊で行方が分からなくなった場合、高齢者支援センター(地域包括支援センター)に相談しましょう。

高齢者支援センター(地域包括支援センター)には介護や医療、保健、福祉などの専門的な知識を持つスタッフが在籍しています。

そのため、専門的な知識に基づいて行方不明者の行動範囲を仮定し、捜索をしてくれます。

普段からよく行く場所を探す

警察、高齢者支援センターへの相談とあわせて、自分でも認知症の家族や知人がどこを徘徊しているか探しましょう。

ポイントは行方不明者が普段からよく行く場所を重点的に探すことです。よく行くお店やコンビニ、公園など、認知症の人になじみがある場所を探しましょう

認知症による徘徊を防ぐ6つの対応策

認知症による徘徊の対応策は家庭でも講じられます。具体的には次のような対応策を検討してみましょう。

  • 日頃から一緒に外出する
  • 日中に適度な運動をする
  • 生活リズムを整える
  • 服や持ち物に名前を書いておく
  • 近所や地域との協力関係を築いておく
  • 徘徊対策グッズを活用する

1. 日頃から一緒に外出する

1. 日頃から一緒に外出する

認知症の人と日頃から一緒に外出するようにしましょう。

一緒に外出した際は「どこに行くの」といったように外出の目的を確認する、道に生えている花の話をするといった行動を心がけることで、認知症の人の気持ちをリラックスさせられます

また、日頃から一緒に外出しておくことで、いざ徘徊してしまった場合に立ち寄りそうな場所を把握可能です。

2. 日中に適度な運動をする

日中の適度な運動は夜間の徘徊防止につながります。認知症の人が徘徊時に遠くまで歩いてしまうというのは、身体的には元気な証拠です。

日中に適度な運動をして疲労感を溜めておけば、外出したいという衝動を抑えられるでしょう。

なお、認知症の人と同年代の人が集まる場所での運動がおすすめです。同年代の人と交流することで、ストレスの緩和が期待できます。

3. 生活リズムを整える

生活リズムが整っていないと夜間の徘徊につながります。例えば、昼寝をしてしまったために、夜に目が覚めて徘徊をしてしまうケースが考えられるでしょう。

そのため、生活リズムを整えて、夜間に目が覚めないようにしておきましょう。

4. 服や持ち物に名前を書いておく

4. 服や持ち物に名前を書いておく

もしも徘徊してしまった際に備えて、どこに住んでいるのか、誰なのかが分かるようにしておく必要があります。

例えば、襟裏や靴の中など、目立たない場所に名前と住所、連絡先を書いたカードを付けておきます

また、いつも持ち歩くバッグがあれば、そこにもカードを忍ばせておきましょう。

名前や住所、連絡先が書かれたカードがあれば、保護してくれた人もどこに連絡すればいいのか分かりやすいでしょう。

カードに名前や住所、連絡先が書いてあれば、認知症の人が自分の名前を伝えられない際にも役立ちます。

連絡先や支援内容を記載したヘルプカードを携帯させるのもおすすめです。

5. 近所や地域との協力関係を築いておく

万が一の徘徊してしまった場合、近所や地域(自治体)の協力は欠かせません。そのため、日頃から近所や地域との協力関係を築いておきましょう

住んでいる地域の自治会役員や近所の人たちに、認知症の家族や知人がいることを伝えておくことで、もしもの際にスムーズに捜索可能です。

また、認知症の人が立ち寄りそうなコンビニや店舗、近くの交番にも伝えておくことも大切です。

6. 徘徊対策グッズを活用する

6. 徘徊対策グッズを活用する

徘徊対策に活用できるグッズは数多く販売されています。

例えば、首からぶらさげられるキーホルダー型のGPSであれば、認知症の人が徘徊してしまってもGPS機能ですぐに場所を特定できます

また、赤外線によって人の動きを感知して家族や同居人に、認知症の人の徘徊を伝えるワイヤレスチャイムもおすすめです。

ワイヤレスチャイムは配線不要ですぐに取り付けできます。また、ワイヤレスのため線を切られてしまうというリスクもありません。

徘徊は日頃の対策で防止できる

警察庁の発表では失踪してしまう人の原因として最も多いのが疾病(病気)です。そのなかでも半数以上が認知症です。

認知症になってしまうと、記憶障害と見当識障害によって徘徊してしまうことがあります。

一般的に徘徊による失踪は、発生から9時間を超えると発見率が下がってしまいます。また、発見に5日かかった場合、生存率は低くなってしまいます

このような徘徊の原因は認知症によってどこにいるのか分からなくなってしまっている、昔の習慣を思い出しているなどが原因です。

認知症の家族や知人が徘徊によって行方が分からなくなった場合は、すぐに警察や高齢者支援センター(地域包括支援センター)に相談しましょう

あわせて、認知症の人がよく通うお店や公園を回ることも大切です

認知症による徘徊は日頃の取り組みで防止可能です。例えば、日頃から一緒に外出する、日中に適度な運動をする、徘徊対策グッズを活用するなどが対策として挙げられます。

しかし、万全の対策を講じていても徘徊によって行方不明になってしまう可能性をゼロにできるわけではありません。

もし、認知症の家族が徘徊によって行方不明になってしまった場合は、警察、高齢者支援センター(地域包括支援センター)だけでなく探偵にも相談してみましょう。

特に警察に捜索を依頼しても不安が残る、できることはすべてしたいという方は、人探しのプロである探偵に捜索を依頼するのがおすすめです。

アイヴィ・サービスはご家族の会いたい、探したいという気持ちに寄り添って、問題解決に向けたサポートを提供します。

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