ご近所トラブルの代表例として挙げられるのが騒音問題です。自宅の近くに時間を問わず騒音を発する家があった場合、睡眠障害をはじめさまざまなリスクにつながってしまいます。
特に、隣人が騒音を発しているのであれば、大きな影響を受けかねません。
この記事ではうるさい隣人を黙らせる方法や自分でできる対処法などを解説します。
一軒家のうるさい隣人を黙らせる方法
一軒家に住んでいる場合、うるさい隣人を黙らせる方法は次のとおりです。
- 町内会に報告する
- 民生委員に報告する
町内会に報告する
一軒家の住宅地では、町内会が住民同士のトラブルを調整する役割を果たしています。隣人の騒音がひどくなってきた場合、まずは町内会に相談してみることが有効です。町内会が間に入ることで、隣人に対して非公開の形で注意喚起を行ってもらえる可能性があります。
また、町内会はコミュニティの一員として、問題解決に向けた調整を行ってくれる場合も多いです。
民生委員に報告する

騒音が続く場合、民生委員に相談するのもひとつの方法です。民生委員は地域住民の生活支援や問題解決を行っており、騒音問題にも対応しています。
騒音が生活に支障をきたしていることを地域の民生委員に伝え、調整してもらうようお願いしてみましょう。特に、隣人が一方的に騒音を発生させている場合、民生委員からの介入が効果的です。
アパート・マンションのうるさい隣人を黙らせる方法
一軒家に対して、アパート・マンションのうるさい隣人を黙らせる方法として以下が挙げられます。
- 管理会社や大家に報告する
- ポストへ手紙を投函する
管理会社や大家に報告する
アパートやマンションの場合、騒音問題を解決するための窓口となるのが管理会社や大家です。騒音が深刻であれば、直接管理会社や大家に報告しましょう。報告を受けた管理会社や大家は、隣人に対して注意喚起や必要に応じて注意書き、改善指導を行う可能性があります。
管理会社や大家が注意勧告しても騒音被害が続くようであれば、退去の手続きが取られる可能性もあるでしょう。
ポストへ手紙を投函する

騒音が改善されない場合、匿名で手紙を送る方法もあります。手紙には、騒音の具体的な内容や、どの時間帯に特に問題となっているかなどを記載し、騒音を控えるようお願いする内容を記しましょう。
ポストへの手紙投函は直接的な対決を避け、問題を冷静に伝える手段として有効です。ただし、あくまで礼儀正しい表現を心がけ、感情的な内容を避けることが重要です。
一軒家とアパート・マンション共通の方法
次のような方法は一軒家とアパート・マンション共通の対処法です。
- 法テラスに相談する
- 警察に相談する
法テラスに相談する
もし隣人とのトラブルが深刻で、解決が難しい場合、法テラスに相談することもひとつの選択肢です。法テラスは、無料で法律相談を受けられる場所であり、騒音問題に対して法的なアドバイスをもらうことができます。
また、法的手続きを踏む必要がある場合は、弁護士の紹介を受けることができ、さらに専門的なサポートを得られます。
警察に相談する

騒音問題がエスカレートして暴力的な行動や違法行為に発展しそうな場合、すぐに警察に相談しましょう。
警察は、騒音が公共の秩序を乱している場合、警告を出すことがあります。特に、深夜や早朝に大きな音が出ている場合などは、警察が直接介入してくれる可能性があるでしょう。
早めに警察に相談することで、問題が悪化する前に対処できる可能性があります。
軽犯罪法第1条14号では静穏妨害の罪を定めています。静穏妨害の罪は警察官ほか公務員の制止を無視して、騒音によって近隣に迷惑をかけた際に適用される罪です。(※1)[1]
静穏妨害の罪は公務員の制止を無視することが条件であるため、警察に相談して適切に対処してもらいましょう。
自分でできる騒音対策
隣人による騒音に対しては、次のような自分でできる対策を講じてみましょう。
- レイアウトを変えて騒音に対応する
- 防音グッズを使う
- 引っ越しを検討する
レイアウトを変えて騒音に対応する
騒音が特定の場所で気になる場合、レイアウトを変更することで改善できることがあります。例えば、部屋の中で音が気になる場所に家具を配置することで、音を吸収することが可能です。特に、壁際に大きな本棚やカーテンを置くことで、音の反響を減少させることができます。
また、隣人の騒音で眠れないという場合、ベッドや布団など寝具を移動させて寝室の位置を変えてみましょう。
防音グッズを使う

防音グッズを使用することも、騒音対策に効果的です。
例えば、耳栓や防音カーテンを使用することで、外部からの音を軽減できます。耳栓は寝室で使用する場合に効果があり、睡眠中に音が気になるケースに有用です。また、防音カーテンは窓から入ってくる音を軽減するため、騒音が激しい場所に住んでいる場合に非常に役立ちます。さらに、防音マットやドアの隙間を埋めるグッズを使うことで、壁やドアから伝わる音を減少させることができます。
引っ越しを検討する
最も効果的な方法が、引っ越しの検討です。騒音問題が解決しない場合や、生活に大きな支障をきたす場合は、引っ越しを考えることも選択肢のひとつです。引っ越し先を選ぶ際には、物件の立地や近隣環境をよく調べることが重要です。
また、近隣住民の生活音に敏感な場合は、防音設備が整った物件を選ぶことを検討すると良いでしょう。引っ越しは時間と費用がかかりますが、長期的には快適な生活環境を手に入れることができるため、騒音が深刻な場合は最も確実な解決方法となることがあります。
うるさい隣人を黙らせる際に避けるべき4つの方法
うるさい隣人を黙らせようとして、さまざまな対策を講じることがあるでしょう。しかし、次のような方法は避ける必要があります。
- 直接苦情を言う
- 許可なく掲示板などに貼り出す
- すぐに警察を呼ぶ
- 壁ドンなどで応戦する
直接苦情を言う

感情的に反応して直接隣人に苦情を言うことは、避けた方が良いでしょう。騒音に対して腹立たしい気持ちが強いと、つい口論になりがちです。感情的な対話は、問題解決にはつながりませんし、隣人との関係を悪化させる可能性があります。
また、相手が反発すると、騒音問題が解決するどころか、逆に悪化することも考えられます。問題を冷静に解決するためには、まずは直接苦情を言う以外の方法を検討してみましょう。
許可なく掲示板などに貼り出す
マンションやアパートに住んでいる場合、騒音問題に関して、管理会社や大家の許可なく掲示板に貼り出すことは、リスクの高い行動です。相手のプライバシーを侵害し、名誉を傷つける可能性があります。また、隣人が不快に感じ、さらにトラブルを引き起こすことがあります。
掲示板に苦情を掲げる前に、まずは管理会社や町内会など、適切な窓口を通じて対処を求めることが大切です。
許可なく隣人の家に張り紙をする行為は軽犯罪法違反
隣人に対して騒音や不満があっても、許可なく張り紙をすることは軽犯罪法第1条28号違反になります。(※1)[2]この行為は、他人の建物や家に無断で貼り紙をすることを禁じており、刑罰として1日以上30日未満の拘留や1,000円以上1万円未満の科料が科せられかねません。(※2)
事実であっても名誉を傷つける行為は名誉毀損
騒音などの問題で不満を抱いている場合、事実であっても相手を公然と中傷する行為は名誉毀損に該当する可能性があります。騒音についての内容で張り紙をすると、名誉毀損罪に問われる恐れがあります。その場合、刑罰として3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科されてしまうので注意しましょう。(※3)
すぐに警察を呼ぶ
騒音問題で警察に連絡することは、最終手段として考えておきましょう。特に、まだ話し合いや管理会社への報告を試みていない場合、警察にすぐに通報することは、隣人との関係を完全に悪化させるリスクがあります。警察が介入する前に、できる限りの方法で解決策を試すことが重要です。
警察は通常、他の方法が効果を見せなかった場合に介入するため、すぐに通報することは避けるべきです。
壁ドンなどで応戦する
隣人の騒音が気になるからといって、こちらも壁を叩く壁ドンなどで反応する行為は避けましょう。
感情に任せて騒音に対抗すると、相手に対して敵対的な態度を取ることになり、問題がエスカレートしかねません。また、隣人に対する威圧と認められてしまうと、法律的に不利な立場になる可能性もあります。
隣人の騒音を放置するリスク
隣人の騒音が気になるものの、放置しているとさまざまなリスクにつながりかねません。
主なリスクとして以下が挙げられます。
- 睡眠障害
- 子供への影響
- 精神的ストレスの蓄積
睡眠障害

騒音問題が続くと、現れるリスクのひとつが睡眠障害です。夜間に響く騒音や、深夜まで続く音によって、十分な睡眠が取れなくなることがあります。睡眠不足が続くと、日中のパフォーマンスが低下し、集中力や注意力が欠如するなどの支障が出かねません。
また、長期間にわたって睡眠不足が続くと、免疫力の低下や体調不良の原因になることもあります。騒音を放置することは、睡眠の質を著しく低下させ、健康に悪影響を及ぼすリスクを高めてしまうでしょう。
子供への影響
騒音は子供にも影響を与えかねません。特に小さな子供は、周囲の音に敏感で、騒音が続くと寝かしつけが困難になったり、集中力が低下したりする恐れがあります。
また、騒音が常態化すると、子供の情緒にも悪影響を与え、イライラや不安感を引き起こす恐れすらあるでしょう。長期間にわたる騒音の影響は、子供の発育や心身の健康にも影響を与える可能性があるため、できるだけ早く対処することが重要です。
精神的ストレスの蓄積
騒音問題を放置することで、精神的なストレスが蓄積するリスクもあります。継続的に騒音にさらされると、気分が落ち込んだり、焦燥感を感じることがあります。また、ストレスが溜まることで、イライラが募り、対人関係に悪影響を及ぼすことも考えられます。
さらに、ストレスが長期的に続くことで、心理的な問題が深刻化し、うつ病などの精神的な疾患につながりかねません。騒音問題を放置することは、精神的な健康に大きなリスクを与えるため、早期に対処することが必要です。
騒音で精神疾患になったら慰謝料を請求可能
隣人の騒音が原因で精神的な健康に影響を及ぼし、精神疾患に至った場合、慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料を請求するためには、騒音と疾患との因果関係の証明が必要です。具体的には騒音の録音や、医師の診断書などが証拠として有効です。また、騒音の発生が継続的であり、生活に支障をきたしていることが重要な要素となります。騒音による精神疾患の影響を証明し、適切な対応を取りましょう。
騒音による健康被害は傷害罪に問える可能性がある
騒音によって精神疾患などの健康被害が生じた場合、相手を傷害罪に問える可能性があります。
通常、騒音は民事上のトラブルとして扱われます。しかし、その騒音が健康に重大な影響を及ぼし、例えば精神的な障害や身体的不調を引き起こす場合には、刑法第208条の暴行に該当する可能性があるでしょう。
騒音を発する隣人を傷害罪に問うには、証拠を収集しておきましょう。
うるさい隣人を黙らせるために証拠を集めておこう
隣人の騒音を黙らせる方法は、住環境によって異なります。一軒家の場合、町内会や民生委員に報告して調整をお願いする方法があります。一方、アパートやマンションでは、管理会社や大家に報告し、改善指導を求めることが有効です。
騒音を放置していると、睡眠障害や子供への影響、精神的ストレスの蓄積につながる恐れがあります。そのため、放置せずに早めに対処しましょう。
騒音を発する隣人に対処するためには、証拠収集が欠かせません。
アイヴィ・サービスでは騒音トラブルをはじめとして、さまざまな証拠収集に対応しています。高いスキルを持つ調査員が法律に配慮した方法で証拠を収集します。
(※1)e-Gov法令検索「軽犯罪法」第一条十四号[1],第一条二十八号[2]
(※2)e-Gov法令検索「刑法」第十六条(拘留)、第十七条(科料)
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_1-Ch_2-At_16
(※3)e-Gov法令検索「刑法」第二百三十条(名誉毀損)
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_34-At_230