「自宅や職場の近くで見慣れない車を頻繁に見かけるようになった」という場合は、単なる見間違いではなく、不審車両の可能性があります。不審車両は、長時間停車したり、同じ場所を頻繁に往来したりするなど、特有の行動パターンを示すことが多いです。
これらの車両は、ストーカー行為、盗撮、空き巣の下見、さらには薬物取引といった悪質な目的を持っている可能性があります。
この記事では、不審車両の見分け方から、遭遇した際の具体的な対処法、そして相談先まで詳しく解説しています。
不審車両とは?不安を感じる具体的な状況
自宅や職場の近くで見慣れない車が頻繁に出入りしたり、長時間停車していたりすると、誰もが不安を感じるものです。このような車両は不審車両と呼ばれ、何らかの悪意を抱いている可能性があります。
しかし、ただ単に見慣れない車だからといって、すぐに不審車両と決めつけるのは早計かもしれません。不審車両を見分けるには、その車両がどのような状況で、どのような行動をとっているかを注意深く観察することが重要です。
ここでは、具体的にどのような状況で不審車両と判断すべきか、そのポイントを詳しく解説します。
長時間同じ場所に停車している

不審車両の最も分かりやすい特徴のひとつは、長時間にわたって同じ場所に停車していることです。特に、人通りの少ない場所や死角になるような場所に、理由もなく停車し続けている場合は警戒が必要です。通常の訪問者や配達業者であれば、用事を済ませればすぐにその場を立ち去ります。しかし、何時間も、あるいは日を跨いで同じ場所に停められている車は、周囲の状況を監視している、または何かを企んでいる可能性を否定できません。
エンジンを切らずに停車している
エンジンを切らずに停車している車両も、不審車両の特徴のひとつです。エンジンを切らないのは、すぐに発進できる状態を維持するため、または車内で冷暖房を使用したり、電気機器を動かしたりしている可能性が考えられます。
特に、真夏や真冬でもないのに長時間エンジンをかけっぱなしにしている場合は、単なる休憩とは考えにくいでしょう。車内で誰かを待っているにしても、その待ち時間が異常に長い場合は、何らかの犯罪の準備をしている、あるいは逃走経路を確認しているといった目的が隠されていることもあります。
頻繁に往来するものの、すぐに立ち去る
特定の場所を頻繁に往来するものの、すぐに立ち去る車両も、不審車両である可能性が高いです。これは、特定の人物や建物の動向を探るための下見行為、あるいは短時間で違法な取引を行っている場合にみられる行動パターンです。何度も同じ道をゆっくりと走行したり、Uターンを繰り返したりする行動も同様に警戒すべきです。
このような車両は、監視カメラの位置や人目を避けるルート、ターゲットとなる建物の入り口や窓の位置などを確認していることがあります。
時間帯を問わず見かける
不審車両は、特定の時間帯だけでなく、昼夜を問わず見かけることがあります。例えば、朝の通勤・通学時間帯に見かけたと思ったら、夜中にも同じ車両が目撃される、といったケースです。これは、ターゲットの生活パターンを把握しようとしている、あるいは時間帯によって異なる目的で行動している可能性を示唆しています。
特に、人気のない深夜帯に同じ車両が徘徊している場合は、空き巣や侵入盗などの下見である可能性が高いでしょう。
車内の様子が見えにくい
車内の様子が見えにくい車両も、不審車両の特徴として挙げられます。窓ガラスに濃いスモークフィルムが貼られていたり、カーテンが閉められていたり、あるいは大量の荷物が積まれていて中が見えなかったりする状態です。これは、車内の人物や行為を外部から隠したいという意図があると考えられます。
もし車内にいる人物の顔が確認できないような状況であれば、特に警戒が必要です。盗撮や盗聴のための機材を設置している場合も、車内を隠す傾向があります。
不審車両の主な目的
不審車両の存在は、私たちの日常生活に不安をもたらします。出没する目的は多岐にわたりますが、何らかの犯罪行為に関連している可能性も捨てきれません。
ここでは、不審車両が持つ可能性のある主な目的について具体的に解説し、その危険性を理解することで、適切な対処法を考えるきっかけとしましょう。
ストーカー行為

不審車両の目的として考えられるのが、ストーカー行為です。特定の人物につきまとい、その行動パターンを監視するために利用されることがあります。自宅や職場、頻繁に立ち寄る場所の近くに長時間停車していたり後をつけたりする行為は、まさにストーカー行為の一環です。
ストーカーは、ターゲットの生活リズムや交友関係、行動範囲などを把握しようとします。そのため、車種やナンバープレートを変えながら監視を続けるケースも存在します。ストーカー行為は、エスカレートすると身体的な危害に及ぶ可能性もあるため、早期の対応が必要です。
なお、ストーカー行為が疑われる場合、以下のような個人情報の漏えい防止策が推奨されます。(※1)
- スマホのGPS設定をオフにする
- SNSやブログの更新を控える
- ゴミを出す際はシュレッダーを使う

盗撮・盗聴
不審車両は、盗撮や盗聴を目的としていることもあります。特定の場所や人物をターゲットに車内にカメラや盗聴器を設置し、その動向や会話を記録しようとします。窓が閉め切られていたり、カーテンが閉められていたりして車内が見えない車両は、このような目的で使用されている可能性が高いでしょう。
特に、マンションやアパートの窓から室内を盗撮したり、特定の部屋の会話を盗聴したりするために、建物近くに長時間停車している場合があります。小型のカメラやマイクは、一見すると車載器や携帯電話のように見えるものもあるため、安易に近づいて確認することは危険です。
空き巣などの下見

住宅街やオフィス街で見かける不審車両は、空き巣や侵入盗などの下見を目的としている可能性が非常に高いです。侵入犯は、犯行に及ぶ前に、ターゲットとなる建物の構造、周辺の状況、住民の生活パターン、防犯設備の有無などを徹底的に調べます。不審車両はその下見のために利用されるのです。
長時間停車して人の出入りを確認したり、何度も同じ道を往復して逃走経路をシミュレーションしたりします。特に、不自然な場所に停車している、あるいは夜間に同じ車両が徘徊している場合は、空き巣の下見である可能性を疑うべきでしょう。
薬物取引などの違法行為
不審車両は薬物取引などの違法行為の拠点として利用されることもあります。人目につきにくい場所や深夜の路上に停車し、車内で取引が行われたり、特定の物品の受け渡しをしたりするためです。
このような車両は、一般的に車内の様子が分かりにくくなっている傾向があり、不審な人物が頻繁に出入りしたり、短時間で入れ替わったりする特徴が見られます。もし、このような状況に遭遇した場合は、絶対に近づかず、速やかに警察に通報することが重要です。自己判断で介入することは危険を伴います。
不審車両の見分け方
不審車両は、犯罪の準備や下見、あるいは既に何らかの意図を持って潜んでいる可能性があります。自分の身を守るためにも、不審車両の特徴を理解し、早期に危険を察知する力を養うことが重要です。ここでは、不審車両を見分けるための具体的なポイントを詳しく解説します。
ナンバープレートが汚れている

不審車両は、身元を隠すために様々な工作をすることがあります。そのひとつが、ナンバープレートの偽装や意図的な汚損です。泥やテープでナンバーの一部が隠されていたり、極端に汚れていて読み取れないような状態であれば、警戒が必要です。特に、通常の走行では考えられないような汚れ方をしている場合や、文字が意図的に判別しにくいようになっている場合は、犯罪目的の可能性を疑うべきでしょう。
車の状態が不自然
車両の状態そのものも、不審車両を見分ける重要な手がかりになります。例えば、窓にスモークフィルムが濃く貼られていて車内が全く見えない車、夜間でもないのにヘッドライトを消している車、あるいは明らかにその場所には不釣り合いな改造車などが挙げられます。
また、長期間同じ場所に放置されているにもかかわらず、全く動く気配がない車も注意が必要です。車体に傷やへこみが多く、手入れが行き届いていないように見える車も、違法な目的で使用されている可能性を捨てきれません。
車内の様子が分からない
車内の様子が全く分からない車は、特に警戒すべきです。窓が締め切られていて換気のために開けられた形跡がない、カーテンが閉められている、あるいは物を積んでいて中が見えにくいといった状況は、意図的に車内を隠している可能性があります。車内に人がいるのかどうかも判別できないような状態であれば、細心の注意を払うようにしましょう。
停車位置に違和感がある

不審車両は、周囲の目を避けたり、特定の場所を監視したりするために、不自然な場所に停車していることが多いです。例えば次のようなケースです。
- 交通量の多い道路の路肩に長時間停車している
- 人通りの少ない裏道でエンジンをかけたまま停まっている
- 駐車スペースではない場所に無理やり停めている
また、特定の建物や住居を監視するかのように、その正面や死角になる場所に停車している場合も警戒を強める必要があります。何度も同じ場所に停車している、または時間を変えて同じ場所に出没するといったパターンも不審度が高いといえるでしょう。
ドライバーの行動が不自然
ドライバーの行動は、不審車両かどうかを判断するうえで重要な情報のひとつです。車内に長時間座り込んでいるにもかかわらず特に何かをしている様子がない、あるいはスマートフォンを操作しているだけで、周囲の様子を窺っているようなそぶりを見せる場合は注意が必要です。
また、通り過ぎたと思ったらUターンして戻ってくる、同じ道を何度もゆっくりと走行している、特定の人物や建物をじっと見つめているといった行動も、不審車両の典型的な特徴です。目深に帽子をかぶっていたりサングラスをかけていたりして、顔を隠している場合も警戒が必要です。
不審車両に遭遇した時の対処法
不審車両の存在に気づいたとき、どのように行動するかが自身の安全を左右します。パニックにならず、冷静に対処することが何よりも大切です。ここでは、不審車両に遭遇した際に取るべき具体的な対処法を解説します。
近づかない
不審車両に気づいたとしても近づかないようにしましょう。好奇心から近づいたり、声をかけたりすることは非常に危険です。相手が何を意図しているのか分からない以上、直接接触することは避けるべきです。できるだけ距離を取り、安全な場所から状況を観察するように心がけてください。
目を合わせない
不審なドライバーと目が合うと、相手に自分の存在を意識させてしまう可能性があります。もし相手が敵意を持っている場合、目を合わせたことがきっかけで標的にされてしまうことも考えられます。不審車両に気づいても、視線は合わせず、あくまで自然な形で通り過ぎるようにしましょう。
メモを取っておく

不審車両の情報を記録しておくことは、後々の対応において重要です。可能な範囲で、以下の情報をメモに残しておきましょう。
- 車の色、車種、ナンバープレートの番号
- 運転手の特徴
- 同乗者の有無と特徴
- 停車している場所、時間帯
- 不審な行動の内容
スマートフォンで写真を撮ることも有効ですが、相手に気づかれない必要があります。
職場や自宅に向かわない
もし不審車両が尾行している可能性があると感じたら、職場や自宅への直行は避けましょう。自分の居住地や勤務先を特定されてしまうと、後々の被害につながりかねません。最寄りのコンビニエンスストアや交番、駅など、人通りの多い安全な場所に立ち寄るなどして、相手の追跡を逃れましょう。
周囲に助けを求める
危険を感じたら、ためらわずに周囲に助けを求めましょう。近くに人がいれば声をかける、大きな声を出して注意を引く、防犯ブザーを鳴らすなどの方法があります。もし可能であれば、すぐに警察(110番)に通報してください。状況を具体的に伝え、指示を仰ぎましょう。緊急性が低いと感じても、不安であれば管轄の警察署に相談するだけでも構いません。地域の防犯意識を高めるためにも、情報提供は大切な行動です。
不審車両に遭遇した時の相談先
自分の身を守るためにも、不審な車両に遭遇した際にどこに相談すればよいのかを知っておくことは非常に重要です。ここでは、不審車両に関する悩みをどこに相談できるのか、具体的な相談先を解説します。
警察

不審車両を見かけたら警察への相談を検討しましょう。警察に通報する際、効率的な捜査のためには、不審車両や不審者に関する具体的な情報を正確に伝えることが不可欠です。焦らず冷静に、以下のポイントを押さえながら報告しましょう。
- ナンバープレート
- 車種
- 色
- 目撃した場所や時間
- 車の周囲にいた人物や車内の様子
なお、警察が捜査の過程で得た情報や不審者の素性について、一般市民に教えることは、個人情報保護の観点から難しいでしょう。さらに、違法行為が確認されない限り対応が難しいと判断されてしまう場合もあります。
自治体
直接的な犯罪行為ではないものの、地域の安全に関わる問題として不審車両の情報を自治体に提供することも有効な場合があります。例えば、不審車両が特定の場所に出没し、地域全体の治安を悪化させていると感じる場合や、特定の施設(公園や学校の近くなど)での出現が目立つ場合などは自治体に情報を提供しましょう。
自治体に情報提供することで、地域全体での注意喚起や、警察との連携強化につながる可能性があります。
探偵
不審車両の目的が分からず、個人的な情報収集が必要だと感じる場合や警察が捜索をしない場合、探偵に調査を依頼できます。探偵は、尾行や張り込みといった専門的な調査手法を用いて、不審車両の所有者やドライバーの身元、行動パターン、目的などを特定してくれます。

不審車両を見かけたら危険を避けて探偵に相談しよう
自宅や職場の近くに不審な車両がいる場合、その存在は大きな不安に繋がります。長時間停車している、同じ場所を何度も往復している、車内の様子が見えにくいなど、不審車両にはいくつかの特徴があります。これらはストーカー行為、盗撮、空き巣の下見、あるいは違法行為といった目的が隠されている可能性も否定できません。
無理に自分で調べるのではなく、探偵に相談しましょう。アイヴィ・サービスではさまざまな証拠収集に対応しています。不審車両にお悩みの方はぜひご相談ください。
(※1)警視庁「被害に悩むあなたへ」




