LINEやメールで不貞行為を立証できる?判例から見る証拠としての有効性

LINEやメールで不貞行為を立証できる?判例から見る証拠としての有効性
浮気調査

不倫の慰謝料請求する際は証拠が必要です。例えば、LINEやメールのメッセージは不貞行為(不倫)の証拠として機能します。過去の判例を見ても、LINEやメールが不貞行為の証拠として認められたケースがいくつも存在します。

しかし、すべてのメッセージが証拠になるわけではありません。内容によっては不貞行為を証明できない可能性があります。このようなケースに備えてほかの証拠も収集しておきましょう。

この記事では、過去の判例から不貞行為の証拠となるメッセージや証拠収集の注意点などを解説します。

目次

LINEやメールが不貞行為の証拠になった判例

過去にはLINEやメールが不貞行為の証拠になった判例があります。ここではLINEやメールが不貞行為の証拠になった判例を解説します。(※1

(※1)判例参考:中里和伸・野口栄一郎. “第4章 不貞行為の証拠の入手方法と裁判例”. 不貞慰謝料請求の実務 主張・立証編, LABO,2020,

ケース1.  深夜の誘いが決め手に

ケース1.  深夜の誘いが決め手に

東京地方裁判所平成19年2月1日の判決です。この判例では、AとYが2005年5月頃から頻繁に携帯電話のメールでやり取りをしていた事実が明らかになりました。

とくに不貞行為を疑われたやり取りが2006年1月、深夜11時26分頃のメールで、YがAを自宅に誘い、Aが「また、誘ってね」という深夜の誘いです。裁判では、深夜の誘いと肯定的な返答は、通常の友人関係を超えるものと判断されました。

さらに、Aが携帯電話を常に手放さず、布団の中にも持ち込むようになったことから、家族に見られたくない秘密のやり取りがあると推測されたことも大きく不貞行為の認定に関わっています。

裁判所は、これらのメールの内容とAの行動の変化を総合的に判断し、A、Yの間に不貞行為があったと認定しました。その結果、Aの配偶者であるXが慰謝料を請求することが認められ、Yに対して慰謝料の支払いが命じられました。この判例は、メールのやり取りや行動の変化が不貞の証拠として有効であることを示しています。

ケース2. 執拗な連絡が不倫の証拠になった

東京地方裁判所平成19年7月31日判決でもメッセージが不貞行為の証拠として認められています。

このケースではXがAにYへ「もう会わない」という内容のメールを送らせたところから始まります。YはAからのメッセージに対し、「何をしたというの」「電話して、お願いだよ」といった感情的な返信をしました。さらに、公衆電話からAの携帯に11回も電話をかけ、深夜にも関わらずX宅に電話をしてXやAと話しました。

この一連の行動は、YがAに対して強い執着心や依存心を持っていることを示しています。裁判所は、Yの執拗なメールや深夜の連絡といった行動が、通常の友人関係では見られないものであると判断しました。そしてメールなどを証拠に、AとYの間に親密な関係があると認められ、不貞行為が成立すると判断しています。

不貞行為が成立したことで、XはYに対して慰謝料請求を行い、裁判所はその請求を認めました。

ケース3. 将来的な約束も不貞の証拠になり得る

ケース3. 将来的な約束も不貞の証拠になり得る

東京地方裁判所平成20年10月8日判決はAとYの関係が不貞行為にあたることがメールで認められたケースです。

この判例では、AはYに携帯のアドレスを尋ね、以降、二人は「抱きしめたり、チューしたりするとどこか連れ込みたくなる」というYからのメールや、「泊ってください」「朝起きてAちゃんが横にいるのがうれしい」といった内容のメールをやり取りしていました。

また、Yは「結婚してください。そして、子どもも欲しい」と将来を見据えた発言もしています。さらに、AがYの妻から関係を解消するよう求められた後も、Yに会うことを求めるメールを送っていました。

裁判所は、これらのメールから二人が肉体関係を持ち、将来的な共同生活を望んでいると判断しました。そのため、AとYの不貞行為が認定され、Aの配偶者であるXが慰謝料を請求することが認められました。この判例から、メールでの将来的な約束や感情表現が不貞の証拠として有効であることが分かります。

ケース4. メッセージが強烈な場合も不貞行為の証拠になる

東京地方裁判所平成20年12月5日判決ではジャズシンガーであるYからXに対して送られたメールが不貞行為の証拠となりました。

YはAに対し、「一緒にいなくてはいや」「わたしを裏切るつもりなら今すぐ伝えろ」「抱いてほしい、今すぐ」といった強い愛情や肉体的欲求を示すメールを送信していました。また、配偶者との関係を解消し、新たな生活を共に始めるよう促す内容も含まれていました。

Yは「精神的な関係を表現したもの」と主張しましたが、裁判所は友人間のやり取りを超えており、深い恋愛関係と肉体的関係を示すものと判断しました。その結果、Yの主張を退けて具体的な不貞行為があったと認定しました。

裁判所の認定により、AとYの不貞行為が成立し、Aの配偶者であるXが慰謝料を請求することが認められました。この判例から分かるとおり、職業や立場に関わらず、メールの内容次第で不貞が認定される可能性があるといえるでしょう。

LINEやメールが不貞行為の証拠にならなかった判例

LINEやメールのメッセージすべてが不貞行為の証拠になるわけではありません。過去にはメッセージが不貞行為の証拠にならなかったケースもあります。

ここではLINEやメールのメッセージが不貞行為の証拠にならなかったケースを解説します。

ケース1. 通信履歴の多さだけでは不貞は認められない

東京地方裁判所平成19年3月30日判決は不倫関係にある2人の通信履歴が不貞行為の証明になるかどうかを判断したケースです。

このケースでは、AとYの間で多数の通話やメールの履歴が存在しました。Xはこれを不貞関係の証拠として主張しましたが、裁判所は通信の回数だけでは不貞行為を立証するには不十分と判断しました。両者が頻繁に連絡を取る必要性が高かった事実は認められたものの、その内容が明らかでない以上、肉体関係があったと推認することは困難とされました。このケースから、メールや通話の頻度よりも、具体的な内容が不貞の証拠として重要であることが分かります。

ケース2. 「好きだ」のメールだけでは不貞と認められない

ケース2. 「好きだ」のメールだけでは不貞と認められない

不倫関係にある2人が交わす「好き」といったメールは不貞行為の証拠としては弱いでしょう。実際、東京地方裁判所平成21年7月16日判決ではこのようなやり取りが証拠になるのかが争点になりました。

このケースでは、AがホステスのYに「好きだ」とのメールを送信していました。約5ヵ月の間に17回も同伴出勤やアフターを共にし、食事や昼食も一緒にするなど親密な関係に見えました。しかし、Yから「私も好きです」との返信はなく、二人が実際にキスをしたりホテルに入った証拠もありませんでした。

裁判所は、AがYに恋愛感情を抱いていたことは認めたものの、肉体関係があったとはいえないと判断しました。このことから、一方的な好意の表現だけでは不貞行為の証拠とならないといえるでしょう。

ケース3. 一方のメールだけは不貞の証拠にならない

不貞行為を証明するには、不倫カップルのどちらかだけのメッセージだけでは不十分です。過去、東京地方裁判所平成27年1月28日の判決では不倫カップルの一方だけのメッセージが証拠として提出されました。

この裁判では、AからYに対して肉体関係を望む内容のメールが送られていました。しかし、YからAへの返信メールが証拠として提出されていなかったため、裁判所は不貞行為を認めませんでした。裁判所は、Aの一方的な願望を示すメールだけでは、二人が実際に肉体関係を持ったと推認するには不十分と判断しています。

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LINEやメールを証拠にする際の注意点

LINEやメールを証拠にする際は次のような点に注意しましょう。

  • 不貞行為が分からないメッセージは証拠にならない
  • 自分のスマートフォンで撮影する
  • 証拠はすべて撮影する
  • 不正アクセス禁止法に抵触しかねない
  • 不倫の証拠として用いられる文面パターンを把握しておく

不貞行為が分からないメッセージは証拠にならない

不貞行為の証拠にするのであれば、当然、不貞行為が分かることが大前提です。例えば、「また会いたいね」「昨日は楽しかった」などの曖昧な表現では、不貞行為の存在を明確に示せません。裁判所で証拠として認められるためには、具体的な日時や場所、行為を示すメッセージが必要です。たとえば、「〇月〇日にホテルで会おう」「〇〇との夜は特別だった」など、親密な関係性を具体的に示す内容が求められます。

不倫相手に送った「好き」といったメールも不貞行為が疑われるものの、先述の判例のように不貞行為の証拠としては機能しない可能性が高いでしょう。

自分のスマートフォンで撮影する

自分のスマートフォンで撮影する

パートナーのスマートフォンから直接スクリーンショットを取得する行為は、後述する不正アクセス禁止法に抵触する可能性があります。そのため、合法的に証拠を収集する方法として、自分のスマートフォンでパートナーの画面を撮影することが推奨されます。この際、画面全体が鮮明に映るように撮影し、メッセージの日時や相手の名前が確認できるように工夫しましょう。撮影したデータは安全な場所に保管し、第三者に漏洩しないよう注意が必要です。

また、スクリーンショットのデータは改ざんを疑われる可能性があるため、証拠として機能しない場合があります。データの改ざんを疑われないためにも、スクリーンショットではなく自分のスマートフォンで撮影しましょう。

証拠はすべて撮影する

一部のメッセージだけでなく、関連するやり取り全体を記録することが重要です。会話の流れや文脈を示すことで、証拠としての信頼性が高まります。例えば「昨日は楽しかったね」というメッセージだけを見ると不貞行為は判断できません。しかし、前後に肉体関係が分かるメッセージがあれば、証拠として機能するでしょう。

なお、消失してしまっては証拠をすべて撮影した意味がありません。万が一に備えてデータのバックアップを取っておくのがおすすめです。

不正アクセス禁止法に抵触しかねない

先述のように、パートナーのスマートフォンのロックを無断で解除するなどの行為は不正アクセス禁止法に抵触しかねません。

スマートフォンだけではありません。パソコンに無断でアクセスし、パスワードを解除してメッセージを取得する行為も、不正アクセス禁止法に違反する可能性があります。たとえ夫婦間であっても、相手の同意なくデバイスを操作することは法律で禁じられています。違法な手段で得た証拠は裁判で認められないだけでなく、自身が法律に抵触したことにより刑事責任を問われるリスクもあります。証拠収集は必ず合法的な方法で行いましょう。

不正アクセス禁止法で禁止されているのは、不正アクセス行為と不正アクセス行為を助長する行為、他人のパスワードを不正に取得、保管、入力要求する行為です。それぞれの具体例と罰則は次のとおりです。(※2

スクロールできます
行為具体例罰則
不正アクセス行為・デバイスのユーザーである他人のIDやパスワードなどを無断で入力する行為
・攻撃用プログラムなどによってパスワードなどで制御されているデバイスを利用する行為
3年以下の懲役又は100万円以下の罰金
不正アクセス行為を助長する行為・他人のIDやパスワードなどを無断で第三者に提供する行為1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
他人の識別符号(パスワードなど)を不正に取得・保管・入力要求する行為・他人のパスワードなどを不正に入力させる行為1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

(※2)富山県警察「不正アクセス禁止法について」

https://police.pref.toyama.jp/6129/soshikiichiran/6129/fusei.html

不倫の証拠として用いられる文面パターンを把握しておく

不倫を証明するためには、どのようなメッセージが有効な証拠となるかを理解しておくことが大切です。例えば次のような文面が不貞行為を示す可能性があります。

  • 具体的な約束の記述:次の週末、ホテルで待ち合わせしよう
  • 肉体関係を示唆する表現:〇〇と過ごす夜が一番幸せ
  • 秘密の関係を強調する言葉:この関係は誰にも言えないね

LINEにプラスアルファで用意したい証拠

LINEのメッセージだけでは不貞行為を証明できない恐れがあります。そのため、次のような証拠も用意しておきましょう。

  • 写真や動画
  • そのほかのメッセージ
  • クレジットカードや交通系ICの明細

写真や動画

写真や動画

パートナーと不倫相手が親密な関係であることを示す写真や動画は、強力な証拠となります。特に証拠としての効果が期待できるのがラブホテルに入室、退室している写真や動画です。このような写真、動画を証拠とするには、2人の顔をはっきりと捉えていることや、いつ撮影したかがわかることが大切です。

そのほかのメッセージ

パートナーと不倫相手がやり取りしているコミュニケーションツールはLINEやメールだけではありません。FacebookやInstagram、WhatsAppなどでのやり取りも確認しましょう。これらのメッセージも同様に撮影や保存を行い、証拠として準備します。

クレジットカードや交通系ICの明細

パートナーのクレジットカードの利用明細や交通系ICカードの履歴から、不審な支出や移動履歴を確認できます。高級レストランやホテルの利用履歴、特定の地域への頻繁な訪問などは、不倫の裏付けとなる可能性があります。ただし、これらの情報だけでは不貞行為を決定づけることは難しい傾向にあります。そのため、ほかの証拠と併用することが望ましいでしょう。

不倫が発覚した際の慰謝料請求方法

パートナーの不倫が発覚した場合、不倫相手に慰謝料を請求できます。不倫相手に慰謝料を請求する方法は主に次の3つです。

  • 書面で請求する
  • 不倫相手と交渉する
  • 訴訟で請求する

書面で請求する

書面で請求する

不倫相手に慰謝料を請求する際は、書面で正式に請求しましょう。内容証明郵便を利用すると、請求の事実と日時を証明できます。書面には、不倫の事実、慰謝料の金額、支払い期限、支払い方法を明記し、感情的な表現は避けて冷静な文面で作成します。

しかし、書面で請求したとしても相手が必ず応じるとは限りません。書面で請求しても相手が応じない場合は直接交渉か訴訟で請求する必要があります。

不倫相手と交渉する

不倫相手と直接交渉します。直接交渉であれば、費用をかけずに慰謝料を請求可能です。しかし、パートナーの不倫相手と直接交渉するのは精神的な負担が多く、大きなストレスになるでしょう。また、相手とのやりとりのなかで冷静さを欠いてしまった場合、トラブルに発展する恐れもあります。

このようなリスクを回避するためには、第三者に介入してもらい交渉を進めるのがおすすめです。

訴訟で請求する

交渉が不成立の場合、最終手段として訴訟を提起します。裁判所に訴状を提出し、法的に慰謝料の支払いを求めます。訴訟では、これまでに集めた証拠が重要な役割を果たします。裁判は時間と費用がかかるため、事前に専門家である弁護士と進め方を相談しておきましょう。

調停による請求もできる

第三者である調停委員を介する話し合いで、互いの合意を目指すのが調停です。調停で成立した結果は法的拘束力があるため、不倫相手は慰謝料を支払わなければなりません。

調停は裁判よりも費用や時間が抑えられます。さらに、一般には公開されないため、パートナーに不倫をされた事実を周囲に気づかれません。しかし、調停で話し合いがまとまらないケースもあります。このようなケースでは裁判を起こさなければなりません。

不倫の証拠収集は探偵に依頼

不倫の証拠収集は探偵に依頼

パートナーの不倫相手に慰謝料を請求するには証拠が欠かせません。しかし、判例からも分かるとおり、すべてのメッセージが証拠になるわけではありません。不貞行為が判断できないメッセージは証拠として機能しないでしょう。

不貞行為が分かる決定的な証拠はすぐに収集できるわけではありません。自分で証拠を集めようとすると、法律に抵触する恐れすらあります。そのため、不倫の証拠収集をプロである探偵に依頼するのがおすすめです。探偵であれば専門的な知識に基づき適切に証拠を収集してくれます。

探偵は法律に抵触しない方法で証拠を収集する

探偵には独自のスキルや経験があるため、不倫の証拠収集に長けています。また、探偵の調査では、探偵業法によって尾行も認められています

一方、一般の人が尾行をすると、ストーカー規制法に抵触する可能性があるでしょう。このような法律抵触のリスクを軽減するためにも、探偵に証拠収集を依頼するのがおすすめです。

判例を参考に不貞行為の決定的な証拠を集めておこう

過去の判例にはLINEやメールのメッセージが不貞行為の証拠となったケースがあります。しかし、すべてのメッセージが不貞行為の証拠になるわけではありません。例えば「好き」といったメッセージでは不貞行為と認められないのが一般的です。

LINEやメールだけでなく、ラブホテルに入室する写真や動画など、そのほかの証拠を集めておきましょう。

不貞行為の証拠を集めるのにおすすめなのが探偵への依頼です。探偵であれば法律に抵触せずに証拠を収集してくれます。

アイヴィ・サービスは浮気調査に対応しています。パートナーの不貞が疑われるものの、証拠が集められないといった方はぜひご相談ください。

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