日本において風俗店として扱われるのはソープランドやデリバリーヘルスなどです。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)の区分では、性サービスを提供する店舗だけでなく、スナックやキャバクラなども含まれています。
夫のなかには、風俗店のなかでも性風俗に通っている人もいるでしょう。妻からすると、夫の性風俗店が許せないケースもあります。
ここでは夫の風俗通いに悩んでいる妻に向けて、風俗通いが不倫になるのかや慰謝料請求の有無などを解説します。
夫の風俗通いは不倫になる?

不倫の定義は人によって異なります。一夜を共にした場合は不倫と捉える人もいれば、手を繋くといった軽いスキンシップも不倫だと捉える人もいるでしょう。民法においての不貞行為とは、既婚者が、配偶者以外の異性と自分の意思で性的な関係を持つことです。
ここでは夫の風俗通いが不倫になるケース、ならないケースについて解説します。
不倫にならないケース
夫の風俗通いが不倫にならないケースは不貞行為、つまり性的関係のない風俗通いのみであれば不倫と認められません。加えて主に次のようなケースも不倫にならない可能性があります。
- 風俗通いを遊びとして夫婦間で同意している
- 風俗利用が単発的である
風俗通いを遊びとして夫婦間で同意している
風俗通いがあくまで一時的な遊びであり、夫婦間で合意がある場合や、夫がそのことを妻に話し、妻が了承しているケースでは不倫にあたりません。夫婦間で風俗通いは問題ないという共通認識があれば、そもそも慰謝料請求や離婚問題にまで発展しないでしょう。
風俗利用が単発的である
不貞行為があったとしても、風俗に行くことが一度きりで夫婦間の関係が正常であれば、不倫とは認められないことがあります。頻繁に行っている場合とは異なり、1、2回しか通っていないのであれば、不貞行為にあたらないでしょう。
不倫になるケース
不倫になるケースは性的関係を持つ風俗店に、頻繁に通っているケースです。
性的関係を持たない風俗であっても、妻がストレスを感じ、夫婦関係に悪影響が及んでいる場合、風俗にどれくらいの頻度で通っていたかなどを考慮して、不倫にあたると判断されることもあるでしょう。
夫への慰謝料請求はできる?

風俗通いをしている夫に対して慰謝料を請求できるケースがあります。ここでは風俗通いを続ける夫への慰謝料請求について解説します。
慰謝料を請求できないケース
夫へ慰謝料を請求できないケースの代表が、不貞行為がない風俗店に通っていたことです。さらに、次のようなケースも慰謝料請求が困難な可能性があります。
- 風俗通いが一度きりであり、夫婦関係が続いている
- 不倫行為が証明できない
風俗通いが一度きりで夫婦関係が続いている
風俗通いが一度きりの出来事で、その後夫婦関係に問題がなく、再発の兆しもない場合には、慰謝料を請求する根拠が不足している状態です。このような場合、夫の風俗通いが一時的なものであり、夫婦関係には大きな影響がないと判断されることがあります。
不倫行為が証明できない
風俗通いがあったことは認められたとしても、その行為が不倫に該当するかどうかが明確でない場合、慰謝料請求は難しくなります。不倫行為を証明するためには、風俗通いが夫婦関係を壊すものであったことを証明する必要がありますが、それができない場合には慰謝料請求は認められません。
慰謝料を請求できるケース
風俗通いを続ける夫に慰謝料を請求できるのは、風俗店に何度も通い、不貞行為が発覚しているケースです。さらに、夫の風俗通いによって、妻が強い精神的なストレスを感じている場合、慰謝料の額が上がる可能性があります。しかし、一般的に通常の不倫よりも慰謝料額は低くなる傾向にあります。
風俗店の女性に慰謝料を請求できる?

一般的な不倫の場合、夫の不倫相手に対しても慰謝料を請求可能です。同様に、風俗店に勤務する女性に対しても慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料を請求できないケース
夫が風俗店の店内で、風俗店の女性と関係を持っている場合、女性に慰謝料は請求できません。風俗店の女性はあくまで性的なサービスを提供しているため、慰謝料請求は認められない傾向にあります。
慰謝料を請求できるケース
風俗店の女性に慰謝料を請求できるケースのポイントは次のとおりです。
- 夫を既婚者と知っていた
- 店舗の外で不貞行為があった
上記のケースでは、不貞行為によって夫婦関係に影響を及ぼしたと判断され、慰謝料請求が認められる傾向にあります。
なお、夫によっては店舗外で会った女性に対して、対価を払っている可能性があります。しかし、対価があったとしても、女性は業務に関係なく私的に肉体関係を結んでいると判断され、慰謝料請求が認められます。
夫の風俗通いは離婚の理由になる

夫の風俗通いは離婚の理由にもなり得ます。
民法770条1項で定められた離婚事由は次の5つです。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
このうち風俗通いは不貞行為に該当する可能性があります。例えば、夫が頻繁に風俗店に通い不貞行為に及んでいた、夫が店舗を介さずに女性と会って不貞行為に及んでいたといった場合は離婚の理由になり得るでしょう。
風俗通いが離婚の理由にならないケースもあるので注意
風俗通いの頻度や様態によっては離婚の理由になるものの、離婚の理由にならないケースもあります。例えば、夫が性風俗を継続的に利用せず、利用回数が2~3回程度の場合、裁判で不貞と認定されないことが多いです。このため、風俗通いが非常に少ない場合、不貞行為を理由に離婚するのは難しいでしょう。
当然、風俗店に通っていても不貞行為がなかった場合も離婚の理由にはなりません。
夫の風俗通いを防ぐ4つの方法
夫の風俗通いを知ってしまうと強いストレスを感じてしまうでしょう。また、夫が風俗にのめり込んだことで、夫婦関係が悪化する可能性があります。
そのため、次のような方法で夫の風俗通いを防ぎましょう。
- お金を管理する
- 誓約書を作成する
- 性病予防を徹底する
- 夫が風俗に通う理由を考える
それぞれの方法について、詳しく解説します。
お金を管理する
夫の風俗通いを防ぐためには、家庭の財政をしっかりと管理することが有効です。お金の流れを透明にすることで、無駄な支出を減らし、風俗利用を抑制することができます。例えば、夫婦で家計を共有し、定期的に支出内容を確認することが重要です。
また、夫が風俗に使えるお金を制限する方法も考えられます。夫婦で予算を決め、生活費や遊興費をきちんと分けることで、風俗に使えるお金を減らすことが可能です。このような管理は、夫が風俗に通うことを予防するひとつの手段となります。
誓約書を作成する
風俗通いを防ぐためのもうひとつの方法は、誓約書を作成することです。夫婦間で風俗に通わないという誓約書を交わすことで、お互いに対する責任感を強く持たせることができます。この誓約書は、夫が風俗に通った場合、妻がその行為に対してどのような対応を取るかについても明記します。
誓約書を作成することで、夫が風俗に通うことが家庭内で重大な問題となることを認識させることができます。また、誓約書の存在は、夫婦間の信頼関係を守るために非常に有効です。この方法は、具体的な法律的効力はありませんが、夫婦間での約束として重要な意味を持ちます。
誓約書を作成する際は次のようなポイントを押さえておきましょう。
- 誓約を破った際の罰則を記載しておく
- 公正証書として作成する
誓約を破った際の罰則を記載しておく
誓約書を作成する際には、夫が風俗通いを破った場合にどのような罰則があるのかを明記することが重要です。単なる口頭での約束ではなく、具体的なペナルティを示すことで、誓約書の効力が高まります。例えば、風俗に行ったことが発覚した場合の慰謝料の請求や、夫婦間の別居・離婚などの可能性を明記しておくことが効果的です。
なお、ペナルティを記載する際は公序良俗に反さないことがポイントです。違約金が数億円、24時間居場所が分かるようにGPSで位置情報を共有するなどは、公序良俗に反するため、
公正証書として作成する
誓約書を公正証書として作成することは、法的な効力を強化するために非常に有効です。公正証書とは、公証人役場で作成される公式な書類であり、内容が法的に効力を持つことが保証されています。
この方法で誓約書を作成すれば、夫が誓約を破った場合に法的手段に訴える際にも強力な証拠となります。例えば、夫がペナルティに応じなかった場合、裁判所を介さない強制執行が認められます。
公正証書として作成された誓約書は、法的に有効であるため、夫に対する法的な圧力をかけることができ、さらに慰謝料請求や離婚においても有利に働きます。
性病予防を徹底する

風俗に通うことのひとつのリスクは、性病に感染することです。このため、風俗通いを防ぐためには性病予防を徹底することも有効です。例えば、夫婦で定期的に性病の検査を受けることで、健康リスクを減らすことができます。また、風俗に通うことが健康に悪影響を与えることを夫に理解させることで、風俗通いを防ぐ意識が高まる可能性があります。
さらに、夫婦間で性病の予防に関する教育を行い、風俗通いがもたらす危険性について話し合うことも重要です。夫が性病に感染することで、妻や家庭にも悪影響が及ぶため、風俗に行くことのリスクを自覚させることが予防につながります。
性病がもたらすリスク
夫に風俗通いによる性病の怖さを分からせるためには、どのようなリスクがもたらされるかを説明しましょう。
例えば、妊娠の予定がある夫婦の場合、夫が風俗店で性病にかかったことで子供にまで感染する母子感染につながりかねません。近年、感染者が増加傾向にあった梅毒は胎盤を通じて胎児にも感染し、子供の神経や骨などに異常を来す先天性梅毒を引き起こす恐れがあります。(※1)
母子感染のリスクがある性病は梅毒だけではありません。HIVやクラミジア、淋病も母子感染のリスクがあります。クラミジアや淋病を治療しないでいると、子供が結膜炎や肺炎になる恐れがあります。
夫が風俗に通う理由を考える
夫がなぜ風俗に通うのか、その理由を理解することも重要です。心理的な原因や性生活に関する不満、もしくは単なる遊び心からの行動など、様々な背景が考えられます。もしも性生活に満足していないのであれば、その問題に向き合うことが重要です。問題を深掘りし、夫の本当の気持ちを理解することで、誤解や不安を解消するための糸口が見つかるかもしれません。
また、風俗通いを止めて欲しい旨もしっかり伝えて話し合いましょう。風俗通いで傷ついたことを伝えることで、夫の気持ちに変化が現れる可能性があります。
風俗通いする夫から慰謝料請求するには証拠が必要
風俗通いを止めない夫から慰謝料請求するためには、不貞行為があったことを示す必要があります。不貞行為の証拠を集められないと、慰謝料を請求できません。
慰謝料請求のための証拠を集めるには、どのような物が証拠に該当するのかを確認しておきましょう。
風俗での不貞行為を示す証拠の種類
風俗での不貞行為を示す証拠として以下が挙げられます。
- 不貞行為が分かる写真や動画
- 風俗店のカードやメモ
- 風俗店を利用したときのクレジットカードの利用明細、領収書
- 風俗店の女性とのLINEやメッセージの履歴
- 風俗店の女性との通話履歴
このうち、強い効力を持つ証拠が、不貞行為が分かる写真や動画です。不貞行為が分かる写真や動画は自力で撮影できるものの、証拠収集がバレてしまう恐れがあります。
そのため、探偵に調査を依頼しましょう。探偵であれば次のようなメリットが期待できます。
- 決定的な証拠を集められる
- 調査に気付かれにくい
- トラブルになるリスクが少ない
- アドバイスや相談に乗ってもらえる
決定的な証拠を集められる
夫が風俗に通っている事実を証明するためには、ただの推測や言い争いだけでは不十分です。慰謝料請求や離婚裁判において有利に進めるためには、客観的な証拠が必要不可欠です。
探偵に依頼することで、夫が風俗店に足を運ぶ様子や、風俗での行動をカメラで撮影したり、証人を確保したりすることが可能になります。こうした証拠を法的に有効とするために専門家の手を借りることで、後々のトラブルを避けられます。
調査に気付かれにくい
風俗店への出入りを調査する際、最も重要なのは相手に気付かれないことです。自分で調べようとしても、相手に疑念を抱かれたり、証拠が取れなかったりする可能性があります。
しかし、探偵はその職業上、尾行や監視を専門的に行う技術を持っています。夫が不自然に気付くことなく調査を行い、風俗通いの証拠を確実に収集できるため、調査が露見して問題になりにくいでしょう。
トラブルになるリスクが少ない
自己判断で調査を行うと、感情的に行動してしまい、夫と衝突したり、トラブルを引き起こしたりすることがあります。しかし、探偵に依頼することで、感情を排除し、冷静に証拠収集が進められます。
また、調査が円滑に行われた場合、証拠が法的に有効であることが保証され、今後の訴訟においても有利に働くため、余計なリスクを取らずに済みます。
アドバイスや相談に乗ってもらえる
風俗通いに関する証拠収集やその後の対応について、探偵は専門的な知識と経験を持っています。そのため、探偵に依頼することで、証拠収集の方法や、どのように法的に有利に進めていくかのアドバイスが期待できるでしょう。
また、証拠を収集する過程で直面する可能性のある心理的な問題や、夫との関係の修復方法についても相談に乗ってもらえる点は大きなメリットです。冷静な判断が求められる状況で、専門家の意見を仰ぐことができるのは、依頼者にとって大きな支えとなります。
夫の風俗通いの証拠を集めて慰謝料請求に備えておこう
夫が頻繁に風俗に通っていて、不貞行為に及んでいる場合は慰謝料請求や離婚の原因になります。しかし、風俗店の女性にまで慰謝料を請求するのは困難でしょう。
夫の風俗通いを理由に慰謝料請求、離婚を検討するのであれば、証拠を収集しておきましょう。特に有効な証拠が不貞行為を捉えた写真や動画です。収集にあたっては専門家である探偵に依頼するのがおすすめです。
夫の風俗通いを止めずにいると、性感染症をうつされる恐れがあります。性感染症は夫婦だけでなく、胎児に影響を及ぼしかねません。そのため、アイヴィ・サービスにご相談ください。専門知識を持った調査員がトラブルのリスクを抑え、決定的な証拠を収集します。